延縄漁
延縄(はえなわ)漁について
延縄漁は、一本の幹縄に釣針のついた2,000本以上の枝縄(この枝縄のことを「はえ縄」という)を次々と海中に垂らし、魚がかかるのを待ってから釣り上げる漁法のこと。
延縄漁は古くから用いられてきた漁法で、日本での延縄漁の起源ははっきりしていないが、『古事記』や『古今集』にもその記載がある。古くは、千尋縄ともよばれた。しかし、室町時代以降は、漁網が発達し、小型魚に対する底延縄による漁は次第に衰退し、マグロなどの大型魚を狙う漁を除いては、網を張ることが難しい岩礁帯で使われることに限られていた。
マグロ延縄漁は、江戸時代の18世紀中ごろに紀伊半島から房総半島の南端に移り住んだ漁民たちの手により、現在の館山市にあたる布良港で始まったと伝えられている。(出典:Wikipedia)
遊泳水深に合わせて仕掛けることで特定の魚種を狙うことも比較的容易であり必要以上に魚を傷つけず漁獲できるため漁業資源に対して優しい漁法といわれる。
気仙沼の近海マグロ延縄漁船を例に挙げると、気仙沼港を出港し、漁場に到着するまで4~7日かかる。漁場に着いたら、約6時間かけて投縄(釣針に餌を付けて延縄を流すこと)を行う。
投縄を終了して、約5時間後から揚縄作業がはじまる。
この揚縄作業は約11時間も要し、針にかかった魚は右舷側にある「舷門(げんもん 船の横側にある出入口)」から慎重に人力で引き上げ、素早く内臓処理・氷詰め作業等を行ってから低温の魚艙で保管(氷蔵)する。魚種によっては、逆に鮮度を保つため船上で内臓処理を行わない場合もある。近海マグロ延縄船と言うが、現在はヨシキリザメやメカジキが主な漁獲魚種となっている。(参考:気仙沼市魚市場 HP - 漁業・魚種)
近海まぐろ延縄船
船の大きさ | 約10t~150t |
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乗組員の数 | 約7名~16名 |
1航海日数 | 15日~45日 |
漁獲魚種 | まぐろ類・かじき類・さめ類等 |
※延縄(長さ約100~120km)に3,000~4,000個の釣針に餌(さんま・さば・いか・あじ等)を付けて投縄をする。
漁具
延縄漁をささえる漁具
延縄漁、大目流し網漁、定置網漁など、漁ごとに漁師の使用する漁具には工夫が施され全てフルオーダー。漁具を信頼しているからこそ、安心して漁ができる。
延縄漁の仕掛け(全長約150キロメートル)
- ラジオブイ
- フロート(浮き玉)
- 幹縄(100〜150メートル)
- 浮縄(10〜100メートル)
- 枝縄(20〜30メートル)
幹縄(みきなわ)
延縄漁で使う幹縄は、約150キロメートルもの長さになるため、たくさんのテグスや組みテグスが連結金具などで連結されてつくられている。
フロート(浮き玉)
縄を海面に浮かせて、広い海の中で目印にもなる。20〜40センチメートルの大きさで形もさまざま。1回の延縄漁では150個程度の数を使用する。(昔はガラス製だったが現在はほとんどが合成樹脂製)
枝縄(えだなわ)
ナイロンテグス、合成繊維、コーディングワイヤーなど、さまざまな素材とパーツを組み合わせてできている。伸縮性を利用して強度を高めたり、回転するパーツで絡まるのを防いだり、枝縄にはいろいろな工夫が隠れている。
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